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日産が38年かけて証明したこと

 忙しいことは罪なりて... 適時書き込みができずに、あれこれ考えているうちに物事が終わってしまふという。
 
 とはいえ、しばらく経つうちに後で色々わかってくることもあります。
 その一つが、日産の完成検査問題。 検査員の資格がないものに完成検査をさせていた不正は実は38年の長きに渡って行われていた、という追加報道です。
 38年前というと、ほぼほぼ80年代の始まり。フェアレディZがS130だったり、スカイラインがジャパンだったり、平成の民にとってはもう太古と呼んでもいい時代です。
 
 そこで考えて欲しいのは、そこから今まで、数多の日産車に大きな欠陥があったり、こぞって事故を起こした事実があったか、ということです。 答えは「否」。

 これが何を意味するかというと、日本車メーカーの完成検査がいかに意味がないか、ということです。 すでに他で書かれているのを読まれた方もいると思いますが、この大騒ぎの中でも日産は輸出仕様車の出荷は平常通り行なっています。 当然、だから輸出仕様がとてもいい加減な基準で出荷されている訳ではありません。
 今時の車は全て高精度センサーで計測され、コンピューターによる総合判断でラインオフされており、一つでもエラーがあれば手直しに差し戻されるか、最悪は廃棄されます。(勿体無いので登録せずに構内連絡車やクラッシュテストに流用することもあり)

 この制度はまだ日本の自動車製造技術が未熟で、例えば四本のタイヤのうち一本が違うサイズだったとか、ボルトが決められたトルクで締め付けられていなかったというような時代の名残で、実際、私が納品に携わったホンダの新車で、助手席側のドアミラーに左ハンドル用のものが装着されていた、というのを目撃したことがあります。(これはつまりホンダの検査官が目視検査で見落としていたということ。)
 しかし今ではバーコードやICタグによるラインへの部品供給、あるいはライン以前でのアッセンブリー納品、センサー付き工具の導入などなど、そのような前時代的ミスを起こそうとする方が大変だったりします。

 さらに、世界中を賑わせたフォルクスワーゲンの排ガス制御詐欺のような大掛かりな設計システムレベルでの改ざんは、いかな天才 or ベテラン検査官でも発見するのは絶対無理。 要するに日本市場のみにずっと存在する新車時の完成検査に意味はない、ということを皮肉なことに日産が証明したことになります。

 しかしこれは裏を返せば、旧運輸省から続く制度の面子を丸つぶれにした訳で、官僚のプライドにかけて許しがたい反逆であったりもしますし、もしこれで仮に検査官制度がなくなって大喜びになるはずの同業者も、応援するどころか38年間馬鹿正直にかけてきたコストと手間を怨嗟してくるはずですから、まぁしばらくは日産は血を吐かされ続けるでしょう。
 
 で、政治家の支持率が低下した頃に「形骸化した制度の見直しを」と言いくるめて制度自体が廃止されるのだと思うし、上記輸出仕様のくだりを見ても、廃止自体は当然と考えます。

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コメント

 ゴーンが鍵なのかもしれません。
 ゴーンがマスコミを前に頭を下げざるを得なくなるのを避けるため、ひたすら現場のせいにしているとも考えられます。
 国土交通省もゴーンがなぜ出てきて謝らないのかにイラついているという報道もありますが、ゴーンのグローバル感覚に安っぽい事務室で頭をさげるなどあり得ないはずです。
 
 仮に「Oui」と言わないとしても、彼に、
 「社長、会見に出て謝罪されてはどうですか。」
 と進言できる側近がいるのかどうか。
 
 ですかね...

投稿: あやおば | 2017年11月23日 (木) 03時29分

仰言る通り「工場完成検査の無意味さ」を露見した事件なのかも知れません。

ただ、大企業が自ら「日本の物作り」の根幹に関わる部分で『やってはいけないこと』をやってしまって、その上に責任を「現場の認識不足」と押しつけ「経営者責任」を有耶無耶にした会見にはウンザリいたしました。

『日産も風通しの悪い企業なんだな。』と思わざる終えません。

ゴーンが年10億もの報酬を貰う中、シワ寄せが出てた証でしたね。

投稿: 蝦夷男爵 | 2017年11月22日 (水) 13時41分

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