朝日新聞の夕刊コーナーに真摯に意見してみた
朝日新聞の夕刊に「女子組」というコーナーがあって、さらに定期的に「オトナの保健室」なるコラムが組まれ、先日は「すれ違い続ける男女の性」という題名で、いわゆる「なんで男はいつもスケベなのか」的女子視線で書かれているのを読みました。
その主張そのものではなく、方法が古臭いというか、脳医学的に禁煙できる時代になったのにもかかわらず、「禁煙はまず見えるところに『禁煙するぞ!』と書いた紙を貼りまくることから」と訴えるような非科学的な内容だったので、末尾に書かれているメルアドに下記の意見を送りました。
あ、いわゆる低次元な炎上の類ではありません。 @niftyのフォーラムで学んだ多様な価値観を前提とした意見表明、というやつです。
なお、原文は、
http://www.asahi.com/articles/DA3S13108626.html
で、読めますが、会員登録(無料)が必要です。
では、以下、原文ママ。
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8/29付「すれ違い続ける男女の性」を読んで、私の意見を送信させていただきます。
指摘されている問題は、AVとアイドルを絶てば解決するようなものではなく、もっとヒトの根源的・生理的な科学に目を向けるべきです。
近年、脳に関する研究が進み、ヒトが異性を性対象として意識するとき、脳のどの部分がどう反応するか解明され、男性は女性の体のスタイルを種の保存本能として重視するといわれています(NHK 女と男 最新科学が読み解く性)。 つまり欄外の漫画にあるような、女性の体を意識・無意識問わず眺め回すのはその延長とも言えます。
また、その隣のコマで自分を青年と思い込んでいるという下りも、いしいひさいち氏が著書(徳間書店 ヘン)で「老人は概ね自分のことを25歳くらいに思い込んでいて、あるとき道端のショーウインドウに映り込んだ自分の姿を見て愕然とする」と述べられています。 これは一生男性ホルモンが止まらない仕組みが原因であるとも言われています。
ヒトがやっとヒトになった頃はまだ家族習慣はなく、とりあえず子供が自分の足で歩けるくらいまで、つまり母が自由に動けない間のみ男が食料の面倒を見て、その期間が終わればさっさと立ち去って次の土地へ移動しました。 今の感覚でいうと薄情にも思えますが、それが優秀な種の保存という生物の本質的な行動だったことは他の生物を見ても明らかです。
我々人間の脳は古い層の上に新しい層が重なるように進化しており、理性の下の奥深い場所ではこのような原始時代の記憶が残っています。 そして今日もそれが時折顔を出します。
また、AVが無い時代から小説や写真集の類は存在し、春画の存在まで遡れば、現実離れした過激な描写はなにも今始まった風潮ではありません。 いわんやアイドルに至っては全くの無関係です。 つまりAVを否定するならばそのような出版物も同時に規制しなくてはならないのですが、同時にこれは表現の自由を制限することになります。 ずっと昔から続く過激な表現の出版物には触れず、映像であるAVのみに照準を当てるのは問題をぼやかせてしまっています。
性的刺激を視覚に求めたり、ムラムラするのは本能の問題・思い込みだからそれを戒めることから始めよう的な意見は、生ゴミをラップでぐるぐる巻きにして無臭無害に見せかけているだけです。
もちろん、だからそれは誰がいつでも見られるようにしておいていい、という話ではありません。 見せたく無い人たち、見たく無い人たちへの配慮は今よりもっと厳しくされるべきという主張には同意いたします。
男性には女性のように閉経による性ホルモンの停止がありません。 おかげで先に書いたように、老人であっても気持ちは25歳程度に保つことができ、これを仮にポジティブに捉えたとしても、一方でずっと女性を性行為対象と見続けることも引きずって行くことになります。 そのような、言い換えると悟りのない性(さが)故に買い求めたアダルト雑誌を子供に発見され、嫌悪されては、むしろその抑圧された欲求の行く先が気になります。 この抑圧がいくら検挙され報道されても、暴行、痴漢、虐待、セクハラ、盗撮がなくならない一因になっているという分析もあります。
これらがこれまで大きな問題として捉えられなかったのは、男尊女卑の時代背景と、問題が顕在化するより早く男性の寿命が尽きたことが挙げられます。 つまり高齢化社会が本格化するとともに、これからは中高年の性の問題も考えなくてはなりません。
そのためにも、道徳や概念ではなく、科学的に分析し、論理的な対応策を見つけなければ提議された問題は解決しないと私は考えます。
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