例えば家電のUIはというと
System7だとかフラットデザインだとか、専門的すぎて、UI、UXってそんな専門的なもの? あぁ、めんどくさ、と思われるかもしれませんね。
ということで、恐らくは多くの家庭にある家電製品のUI、我が家にあるPanasonic製ケーブルテレビHDD付セットトップボックスを例にとりましょう。
録画データを選択して、サブメニューを出すと、こういう風になります。
お分かりでしょうか? 番組消去がデフォルトです。
メーカーとしては、他のメニューと比較して恐らくユーザーが最も頻繁に使うだろう、つまりはユーザーの利便性を考えてこういうレイアウトになったのでしょう。
が、アップルはガイドラインでこう説いています。 「データを失う可能性がある機能は最も選びにくい場所にあれ」と。
これに関して、私は「最も安全なボタン」が常にダイアログボックスの右下にあるのは、統計的に多数である右利きの使用感にあわせたものだと思っていましたが、これもガイドラインを読むと、一般的な横書きは、左上から右下に視線が移動するから、とありました。 つまり、まずはアイコンで直感的にそのメッセージの意味を捉え、次にメッセージを読み、最後にユーザーの操作を待つ。 そして視線の終端にあるべきは、ユーザーの不利益を防ぐ機能であるべきだというのを「Dialog boxes」の項で見つけました。
単純な右利きのためのレイアウトでないという証拠に、横書きが右から始まるアラビア語OSでは、最も安全なボタンは左下にありました。 なるほど、そうだったのか。
つまり、話戻ってセットトップボックスの例では、このメニューが出た直後に「消去」が選択されているのはよろしくない、ということです。 仮にこの機能を使うときには消去がもっとも多数である、というデータがあったとしても、そして「私はミスなどしない」と思い上がっている消費者から、「なぜ最も良く使用する機能がデフォルトではないのか」と苦情が来ても、何が本当のUIか、を押し通さなくてはならないのです。
ここまで書いていてさらに不思議なのが、どうして家電のUIには「UnDo」、「やり直し」が無いのでしょうか。 このセットトップボックスは不明ながら、同じパナのBDプレーヤーの背面にはJAVAのロゴマークがありますから、OSはパソコンと同等と考えても良いでしょう。
今でもUnDoをサポートしていない日本製のアプリケーションを私がさらしものにする理由は、もう三十年にも及ぶこうしたアップルのガイドラインの成果故であって、最近盛んに謳われている家電のインテリジェント化以前に、日本メーカーは三十年間何をしてたのよ、と呆れてしまうのです。
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