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もうこのあたりでいいですシステム

 変なタイトルですが、要するに安楽死システムです。
 この手の内容に神経質にならざるを得ない人は、読み飛ばして頂くか、星新一的ショートショートとして読んで頂ければ幸いです。
 
 最近は末期がんや高齢者、植物人間などの延命処置を医師と家族との確認によって選択できるようにはなりつつあります。 が、私がここで書く安楽死とは、今様々な方法で行われる自殺を、一定の手続きを経ることにより、合法的かつスムースに実現するシステムのことです。
 
 もちろん様々な問題を片付けなくてはならないのですが、最初の申し込み段階で重要なのが「安易に励ますな」。
 引き留めて欲しい人もいます。 しかしその一方で本当にそこで自分の人生を終えたい人もいます。 後者であると分かった場合、訳の分からないおっさんやオバハンや、顔も見たことがないどこかの子供の絵入りメッセージなどで不要な引き留めをしない。
 
 ただ「死にます」「はいどうぞ」と行くわけではなく、指定された機関(窓口)で心理的判断(どこの家庭でもそんなもんでっせ、とか)、経済的判断(いまのあなたの保険では保険金がおりませんよ、とか)、医学的判断(不治の病だと思い込んでいたが、実は保険適用でよい治療方法がある、とか)の手続きは必要ですから、発作的な自殺は対象外となります。
 年齢対象は難しいのですが、平たく考えると成人であれば対象とするべきでしょう。 まともな判断ができないほど認知症が進んだ老人の場合は、親族や、いわゆる後見人的の合意があれば代理申請できるとします。
 
 システム利用が認められたら、利用者は病院のようなホテルのような施設に向かいます。 最後の最後に「やっぱりやめときます」という翻意はいつでも可能であるというのを大前提に、方法は防腐剤入り一酸化炭素が一番良いでしょうか。
 スポーツ用の酸素吸入のようなハンディボンベのようなものでも良いし、徐々に室内の一酸化炭素濃度を上げてゆくなど、この辺りはいくらでも精神的肉体的苦痛のないシステムがあると思います。

 死亡が確認されると一通りの法的手続きのあと、すみやかに納棺され、そのまま火葬、葬式へと運ばれます。 この段階までに全ての法的な手続きは準備されていて、死亡確認と同時に一斉に代理手続きに入り、仮に家族に内緒の場合、この時点で初めて家族に告げられることになり、遺書があれば希望の場所に確実に手渡されるようになっています。
 また、これにより残された遺族が社会的に不利な扱いを受けてはならないという法的な守りも必要です。 独り暮らしなどの場合、財産もきれいに処分され、住居の後始末なども同時に行われます。
 もちろんこれらは全て公費であり、金がないから自殺すらできないという不利益が生まれないようにします。
 
 実現には各方面から大変な反対を受けると思います。
 道徳的な反論が一番最初に来て、その次に保険会社やヤミ金関係を含む金融機関。 犯罪者の場合は司法機関も異議を申し立てるでしょう。 が、それは当然の摩擦として織り込み済みです。
 
 まぁ、私の場合、今のところ体は健康ですし、死ななければならないほどの借金はありません。 そしてこのまま推移したとして、惚けたとします。 失禁、脱糞、暴力などの非人間的な行動が最初はまだらにやってくるはずです。
 仮にこの時点で「次の桜の満開を見たらこの世からおさらばしよう」「ひぐらしの声を聞いてから」「初雪を見てから」という条件付きであらかじめ申請を済ませておき、その日が来たら委任した代理人に施設に運んで貰うってのも良いと思っています。
 
 動物は自分の死を選んだりはしない、死を望む愚かな思いは人間だけだ、という主張もありますが、我々人間は既にヒト以外の動物と比較されるほど単純な存在ではなく、恐らくヒトが生まれたときとは想定外の寿命を生きているという生物学的なエラーにも冷静な目を向ける必要があります。
 であれば、ひとたび人が真剣に死を考えたとき、冗長な雑音を一切排除した新しい尊厳死、安楽死のシステムは絶対に必要だと考えます。
 
 さすがに「もうこのあたりでいいですシステム」って名前はダメでしょうけど...

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心と体」カテゴリの記事

コメント

自殺者は年間約3万人、未遂含めると30万人を
超えるらしいですよ。
MISをその全員が使うかどうかはわかりませんが
自殺前のチェックや、遺体の片付け、その後簡易葬式、
死後の財産処分まで含めると
相当な額になりそうな気がしますが。

それと、電車への飛び込みなんかは、
MISの適応外の発作的自殺に分類されちゃうの
じゃないかなと思ったりもします。

まぁ、金銭的な話も含めて色々と興味深い話題
です。それなりに思う所もあるしコメント欄で
話すにはもったいないですね。

仕事の兼ね合いでなかなかお会い出来ませんが
いずれ時間があえばじっくりお話聞かせて
いただきたいです。

投稿: たけ | 2010年8月20日 (金) 13時23分

M.I.Sなる、ナイスなネーミングありがとうございます。

で、これは絶対に公費でやるべきだと私は思っています。 というか、税金から負担しても決して赤は出ません。

都会の電車に飛び込む>数千、数万人の人に影響が及ぶ>金銭被害に換算すると少なく見積もっても最低数百万円。
樹海で自殺、海に飛び込む>捜索費
自宅で自殺>後始末が大変
などなど。
遺族に損害賠償を求めていないJRは協賛費を出しても良いかもしれません。

さらに老人の場合は、その日以降の年金負担が無くなるわけで、公費負担してもプラスだと試算してるんですけど...

投稿: あやおば | 2010年8月20日 (金) 02時02分

もうこのあたりでいいですシステム、略してM.I.S.ですね

世の中の人って自殺者に対して結構厳しいですよね。
鬱病の人にも一定の世間的理解を示しながらも、
ココロの中では「はぁ?辛いのはみんな一緒なんだよ、
都合いい事行ってリタイアしてんじゃねーよ」的な
心境が自殺者に対してもあるんじゃないかと思えます。

そこに金出すとなると中々厳しいでしょうね。
”自”殺なんだからきっちり”自”分でカタつけろと
思う人も多いんじゃないかなぁ。

あくまでもそう思う人が多いんじゃないかと
思うだけで、M.I.S.に対する賛否ではないです。

投稿: たけ | 2010年8月19日 (木) 13時56分

映画「ソイレント・グリーン」の食糧難の解決方法は難ですが、安楽死システム自体は悪くないように当時から見えました。

投稿: DS | 2010年8月19日 (木) 07時40分

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