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老境本

Book4declining
 とあるアンケートに答えたら薄謝として図書カードを貰いました。 たったの五百円なんだけど少し気が大きくなってこの三冊を購入。 我ながら支離滅裂。
 
 一番下は新快速用新型225系の詳細を知りたさ。 真ん中はせっかく堤防に通って日焼けしているので何か面白いネタはないかとのSafari。 おかげでVANSのスリッポンを購入することに決定。

 そして文藝春秋が出しているオール讀物。 藤沢周平の特集だったので思わず買ってしまったんだけど、自分で買ったのは生まれて初めて。 亡父が四十代になった頃からこういう本を買ってきて、通勤途中や休日に横になって読んでいたのを思い出しつつ、本を開くと強烈とも言える老齢臭、もとい老齢色を感じて正直驚きました。
 
 何せ冒頭の佐藤愛子「これでおしまい とりとめもなくボケ話」に始まり、最後は曾野綾子「老年に向かう効用」で終わるという目次を見てもそれは明らかで、広告も普段の私が目にすることのない展開。 読書好きや小説好きがどんどん老齢化し、いつのまにかこういう構成になってしまったのでしょう。
 
 筋金入りの読書好き・中毒は別として、もっと本を読みたい、読まなければ、と思いつつも仕事に追われたサラリーマンがふと余裕ができたとき、あるいは苦労して手に入れたマイホームと遠い仕事場の往復にこの手の本はうってつけのパートナーだったのかも知れません。
 藤沢周平の小説が本格的に面白くなり出した頃に父は過労死しましたから、彼が藤沢周平の小説を読んだかどうかは非常に微妙なタイミングではあります。 てなことを書くと、私も時代小説好きと思われるかも知れませんが、どちらかというと薄ら笑いを浮かべて斜に眺めていた方で、鬼平犯科帳や、大岡越前のオープニング、遠山の金さんのエンディング音楽のほうが気になっていました。
 だから藤沢周平を私が好きなのは本当に不思議な、恐らく時代小説としてではなく、時代小説の形を借りた彼の主張が性に合っているのだと思います。

 最近、iPadやキンドル絡みで突如読書スタイルに関する話題が賑やかになっていますが、はて、それほどみんな読書好きだったのか。 あるいは読書する時間などあったのか、といぶかしがりつつ、私としては亡父を思い出してごろごろ紙でできた本を読んでいる方がなぜか落ち着きました。
 たまたま書中にAppStoreで販売されているiPod用小説の広告があり、その中に藤沢周平もありましたが、写真で紹介されている風情は、いくらモリサワフォントを使用したとか縦書き+ルビ採用とあっても「蝉しぐれ」のあの空気感は伝わってこないように感じました。
 
 改めてこのオール讀物、ほんと老境へのパスポートのような本です。
 表紙は恐らくリタイヤした夫婦が地図を片手に近郊旅行してるんでしょうね。 個人的にはこの歳になって夫婦がこれだけ密着して座れるのは考えられないシチュエーションですが。
 
 Safariには奇しくも「夏はブロンズ肌でアンチエイジに!」という見出しが躍り、紫外線が毛嫌いされる中で梅雨の中休みには嬉々として肌を焼き、VANSのスリッポンを買って、なんて言ってても感性というか琴線はぶれることなく歳を取っていることに、慌てると共に、逆に安心したりもします。

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