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プリウスのクレーム騒動

 トヨタがプリウスのクレーム対応を世界で行うということで、やっとマスコミが落ち着いたようです。 しかし「今日からクレーム作業開始」までご丁寧に追跡しなければならん問題かという気もします。

 トヨタ、嘘をついてバックれようと言う気はなかったんだと思います。 該当する車に乗って問題の条件を確かめたわけではないですが、既にこなれた技術であるABS制御に電車で言うところの回生外れが加わったためにもう少し発売前の調整時間があれば、というのが開発陣の本音でしょう。
 その証拠にその後出荷されたロットでは今回問題になっているような挙動は現れていません。
 「あとすこし時間があれば」というのはどのメーカーの開発陣も抱える悩みで、その点ではプリウスも普通のいわばよくある初期ロットトラブルだったと思います。

 皮肉なのは「確かに0.06秒の空走感はあるが、そこからさらにブレーキペダルを踏む込めば問題ない」という「踏み込む」という作業がもはや世界のトヨタユーザーには難しくなっていたことでしょう。

 20年くらい前からぼちぼちとフルブレーキが踏めないドライバーが増えてきていました。
 「急ブレーキを踏んだけどブレーキが効かなかった」
 というクレームで入庫した車を調べたが異常はなく、さらに調べたら単にドライバーが目一杯ブレーキペダルを踏み込めていなかっただけ、というオチ。
 だから自動車メーカーや輸入代理店が主催するドライバーズスクールのカリキュラムには必ずフルブレーキングの項目が含まれています。

 さらにもっと以前から、特にトヨタ車のブレーキ制御はいわゆるオーバーサーボで、「カックンブレーキ(急激に制動力が立ち上がってスムーズにブレーキングできない)」とスポーツ系ドライバーには嫌われておりました。 しかし大方のドライバーにとって仕事に要する力や手間は少ない方が好まれるというもの。
 ということでブレーキに始まって、アクセルペダルもリニアリティのない少し踏めばエンジンパワーの大半がでるような制御、などに推移して行きます。
 もちろんこれが全てトヨタだけが悪いのではなく、それが証拠に一時期(初代アリストがでた頃)、それらのコントロールをもっとリニアリティのあるものに変えようとした時期がありました。 つまりそれが本来の自動車のコントロールだと。
 が、そのささやかなルネッサンスは日本全国のトヨタセールスマンからのクレームで幕を閉じました。 「ブレーキが効かない」「アクセル踏んでも走らない」という客からの苦情殺到。

 今回の件、仮にトヨタが嘘をついていないとすれば、制動力が抜けても普通本能的にブレーキをさらに踏み込むだろう、という本能的な能力すらもユーザーは失っていたということだと思います。
 すでに世界の多数にとって、ブレーキは「踏む」ものであって「踏み込む」ものではない、ということです。

 に、してもこういう話ってツルツルに凍った道でABS付きの車が完全に止まれない、トラクションコントロール付きの車が発進できないというのと同じレベルのトラブルだと言っても良いのに、えらい大きな話になりましたねぇ。
 特にアメリカの動きはさすが集団ヒステリーの国。 アクセルペダルの不具合が先にあったからとはいえ、トヨタ虐めたら自国民のブルーカラーの雇用が失われるといい加減気がつかないのかな、と。
 カナダのジャーナリズムはこれを普天間の報復と報じていますが、はてさて...

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コメント

 お〜、やりましたねTBS。
 結局は過度に品質「感」にこだわりすぎた結果なんでしょうか。 品質と品質感、どちらも重要ですが、同意語じゃないですよねぇ。
 
 今回既に世界レベルの謝罪になっていますので、今更真実の真実なんて表に出てくるわけがありませんが、担当開発者達とその見極めを行った担当者は大変でしょうね。
 少なからずの打撃だったとはいえ、これでトヨタの屋台骨が傾くわけがありませんから、これを機によりよい車作りに繋げてもらえればと思います。
 
 で、このTBSの取材、トヨタ広報部は絡んだんでしょうかね。
 というのは、今後は方法を含む様々な部門でよりオープンな体制を築くというトヨタの談話を新聞で読みまして、あの閉鎖的な姿勢が少しでも変わったのかとふと感じたもので、

投稿: あやおば | 2010年3月 1日 (月) 03時50分

私が望んでいたプリウスのABSテストをテレビ番組(TBS報道特集NEXT)で見ました。
ABS改修前の新型プリウスは、やはりダメみたいですね。
低μ路でブレーキ開放し過ぎで、あれではブレーキが抜けた感じというのは誰でも感じると思います。
凍結路で前車に上手くブレーキングされたらプリウスは止まりきれなくて追突かな。
トヨタがよくあんなABSセッティングで発売しましたね。

私もエスティマを乗り換えたのですが、新しいエスティマに少し似たようなABSセッティングを感じます。不具合という程ではないですが、凍結路でのABSセッティングは好みじゃないですね。(舗装路では問題なし)
前のエスティマ(初代)はABSが効くとブレーキペダルへのキックバックが強くあり、タイヤが回転と停止を繰り返すのが分かりやすいセッティングでした。断続的にタイヤがロックするブレーキング重視のABSセッティング。3デフのフルタイム四駆(前後荷重もほぼ均等)なので、もともとブレーキングには有利ですが、ABSによる路面グリップも感知しやすいので、とにかく雪道は走りやすい車でした。
いまのエスティマはABSが効いたときのブレーキペダルへのキックバックが随分と小さいです。ABSの作動も早めで低μ路ではすぐにABSが効きます。タイヤのロックは僅かで滑らかにABSが効きます。上品な効き味とも言えますが、制動距離的にはやや不満です。
私が想像するに、以前のようなブレーキペダルへガクガクとキックバックが来るようなABSは「壊れている」と誤解したり「気持ち悪い」とか言う消費者がいるので、トヨタは制動性能よりもフィーリングを重視したABSセッティングをしたんじゃないですかね。
ましてプリウスのような静かな車でABSが強くキックバックしたらそれが目立つので、余計にキックバックを抑えたと。その結果、凍結路で甘いブレーキが出来上がったと。

投稿: DS | 2010年2月28日 (日) 15時45分

いやいや、トヨタ広報部は昔から媒体と人を選びますし、クレームかどうかで抵抗している段階ならともかく、認めてしまった以上、テスト車両の条件を綺麗に揃えて提供してくれることはもうないでしょう。

残る手段としては個人が所有しているサンプルを集めて比較するしかなく、そうなると実験結果の説得力が落ちてしまうことは避けられません。

まぁ、真実は開発担当者のぼやきからしか掴めないのではないかと。 で、これは当然公式見解じゃないのでやはり真相とは呼べず、やはり迷宮入りでしょう。

今日も社長が販売店に出向いてクレーム入庫させたオーナーに頭を下げるシーンが報道されてましたが、いつまで日本企業はこういう土下座営業を続けるんでしょうね。

投稿: あやおば | 2010年2月13日 (土) 20時36分

むかし(笑)、凍結路で止まる寸前のどこでABSを切るかが話題(問題)になったことは、若いひとたちは知らないでしょうね。

プリウスの初代、2代目に関しては不具合が無かったんでしょうか?
自動車雑誌には、プリウスの2代目、3代目の初期、3代目の対策済みでABSがどのように作動するのか本当に危険を感じるのかテストして欲しいな。
うろ覚えですが、片輪だけが凍結に乗ったときにノーブレーキ感覚になるんじゃなかったかな。それとも片輪だけが段差に乗ったときだったか?
何れにしても簡単にテストできるんですから、是非テストして欲しいです。トヨタの言ってることが本当なのかユーザーからのクレームにも一理あるのか知りたいです。テストしてくれたら久しぶりに車雑誌買います。

投稿: DS | 2010年2月13日 (土) 15時13分

ハイブリのブレーキの抜けなんて、本当にちゃんとブレーキを踏んでる人には起こらないですよ。

確かに、しっかりブレーキを踏めない人が多いと思います。
実際、ブレーキが効かないんじゃなくて、ちゃんと踏んでないのが殆どだと思いますよ。

教習所で急制動はロックさせちゃダメってのも問題があるような気がします。
今時、ABSが付いてない車なんて殆ど無いでしょう?
せめて教習所で、思いっきりブレーキを踏む練習が必要なんではないでしょうか。

私なんかは、ドライビングスクールとか行ってるので、4輪ロックさせるまでのフルブレーキのレッスンもやりましたしね。
フロントだけならすぐロックするんですけどね・・・
親の敵だと思って踏めって言われましたよ(笑)

投稿: いんて | 2010年2月12日 (金) 17時37分

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