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色の力

 先月、NHK BSの「世界のドキュメンタリー」という枠で「奇跡の映像 よみがえる 100年前の世界」というのをやっていました。
 取り貯めていたのを昨日全部見ましたが、カラーと白黒写真の違いは想像よりも大きくて驚きました。
 
 100年前から70年前というと、日本は明治末期から第二次世界大戦に至る導入期で、これまで見てきたその頃の写真は白黒ばかりで、「昔の出来事」という印象が強く、さらに言うなら、人間なんだけどどこか違う宇宙人のような印象さえ持っていました。
 ところがカラーで見ると、まるでついこの間のような、写真によっては今でも世界のどこかでこんな人がいるのではないか、と思わせるほどのリアリティがあって、改めて、今と全く同じ人間達がずっと生きていたんだ、という感動に揺さぶられます。
 
 このカラー写真、オートグラフという方式で、ジャガイモの澱粉粉を感光剤にしているそうですが、はて、そんなものが感光剤になったんですねぇ。
 素晴らしいのがその発色。 我々がごく普通に手に入れて来たいわゆるネガフィルムよりも現在のポジフィルムの発色に近く、このまま印刷に使えそうな色空間を持っていることです。 100年前にして、よくこんな技術があったもんだと、ちょっと写真に詳しいつもりだった私の無知を知らされました。
 
 この企画を進めたアルベール・カーンはフランスの銀行家ですから、第一次世界大戦に関する記録が多く、途中、ドイツのフランス侵攻から始まるところからベルサイユ条約までの映像は、今ひとつピンと来なかったこの戦争について印象を新たにしました。
 また、イスラエルに対して嫌悪感を持つ私ですが、今では有名なイスラエル建国にイギリスが大きくかかわってきた事実に加え、それ以前にオスマントルコの統治権をイギリスが大戦後に勝手にフランスに渡してしまったが為に今の中東の民族間闘争を決定的にしてしまったことなど、全く知らなかった事実にも驚きました。 この辺りはさすがBBC制作というところでしょうか。
 
 脱線ついでに書くと、BBCはこの番組を通じ、暗に昔はイスラムもユダヤもキリスト(十字軍の名残)も中東や北アフリカでそれなりに仲良く混在していた、という事実を言いたかったのではないかという表現が何度も現れます。
 結局民族という枠に捕らわれたのは当時の欧州先進国であって、彼らの植民地政策に始まり、そして国境をいじくり回した結果が今の民族・宗教間闘争の発端ではないのか、と私も思うようになりました。
 
 さて、話をカラー写真のことに戻しますと、美しい色が付いた景色は場所によってはいまでも変わらず存在することが多いのに引き替え、そこに写っている人々は殆どが既にこの世にいません。 これが白黒写真だとそれが当たり前のように受け止められるのに、カラーになって急にリアリティが増してしまうと、人生の長さというのを改めて考えてしまいました。
 
 いつかデジタル化しないとえらいことになる、と思いつつフイルムのままになっている私の数十年前の写真の方がむしろカーンの写真よりもレトロな変色を起こしていますから、ある意味でこれは近年の写真の方が訴求力を失っているということなのかも知れません。
 
 でもなぁ、35mm用は安くなったけど、6×6もスキャンできるフイルムスキャナーはまだ高いんだよなぁ... って最後はいつもの貧乏愚痴でした。

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コメント

 情報ありがとうございます>bonbooksさん

 amazonで検索してみました。
 7,000円弱ですかぁ。 結構なお値段ですね。 逆に写真集の場合、これくらいの値段でないと期待できない気もしますし、う〜ん、悩むところです。

投稿: あやおば | 2009年9月 8日 (火) 20時29分

『アルベール・カーンコレクション~よみがえる100年前の世界』という本も出ていますよ~。番組がベースとなっているようです。

投稿: bonbooks | 2009年9月 8日 (火) 17時55分

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