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藤沢周平

 近日、CATV業者が事務所が入っているマンションの電波強度をチェックしに来るので、今日は事務所の掃除。
 生活はしていないのでそれほど汚れてはないものの、埃が多くて、いろいろと床に置いてあるものを片付けて掃除機、続いて珍しく雑巾がけ。

 その行きがけに寄ったのがBook OFF。
 お目当ては藤沢周平の小説本。

 文章を書くことが好きな割に定期的に小説を読まない(いや、本は読んでるんですよ。 両性具有の本とか脳科学のとか)私が、久々にじっくりと読んでみようかな、と思った作家です。 しかも時代小説を読むは生まれて初めて。
 きっかけは本ではなくて、NHK AMの深夜番組でやっている松平アナの朗読。
 今から考えるとこれが小説の文体に良くあっていたというか、なかなか枯れた良い雰囲気を醸し出しています。

 数年前からこれを時々聞いていて、小説の内容に非常にリアリティがあるのに気がつきました。
 時代小説には何となくテレビのイメージがあって、どこか遠くの国の古い話のようで全く興味がありませんでした。 が、彼の小説は例えば武士とは言え下級武士の貧乏で平凡な生活、恋愛、そして切り合いに挑む恐怖感など、まるで江戸時代がすぐ横に存在しているかのようです。

 このあたりは映画化された映像でも垣間見え、テレビではカツラでつるつるの額から頭頂部も少しでも手入れを怠ればヒゲと同じく毛が生えてザラザラになっていて「そりゃそうだよなぁ」と改めて納得します。

 先日読み終わった「闇の歯車」でも、刀で切られた武士が脇腹からはみ出た自分の腸に手を当てて「帰らねば」と這いずったり、匕首(あいくち)で首を斬りつけられた町民が、自分の首から出ている血しぶきを理解できていなかったりと、時代活劇では「う〜っ」「やられた〜」で終わってしまって、そんなに人を斬ること、斬られることって簡単なの?と鼻白んでいた私は非常に感銘を受けました。

 あと、全作品に共通する恐ろしく正確な町並みの描写。
 それは江戸時代の研究家も一目置く程で、藤沢氏は東京で仕事をしていたとは言え、これまた太秦村のセットで撮られている映像を見慣れていた身には「江戸って本当に存在していたんだ」と改めて思う程の厚みがあるのです。

 今と明らかに違うのは電気がないということで、むしろ真っ暗になってしまえば行灯や蝋燭で結構明るくなるものの、それに至る夕暮れ時は「誰ぞ彼→たそがれ」と言葉ができたほど視認性が悪くて、「逢魔が刻」と呼んで人は恐れたなど、あとがきにまで思わず唸ってしまいます。

 まぁ、理屈はそれくらいにして、とにかく彼の文体が非常に好きです。
 濃厚で人の気持ちを充分伝えながら、全体としては淡々としている。 これが文章力というものなんでしょうねぇ。 う〜ん。

 さて、そんなこんなで本屋に寄った私ですが、ふと思い立って「そうだ、とりあえずBook OFFに行こう」となったわけです。
 ただ、置いてあったのは「蝉しぐれ」一冊だけ。 もちろん購入しましたが、これからは新品がメインになりそうです。 「三屋清左衛門残日録」は読んでおきたい...

 あ、でもそろそろ夏休みだ。 私もそろそろ次の小説書かなくちゃ。
 前のはどうなったのかなぁ? もう半年経つのに。

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