多分わかってもらえないだろうこの感覚
日曜深夜はHDDに溜まっている番組を消化するわけですが...
その中で攻殻機動隊S.A.C. 2nd GIGの最終回があって、思わぬ衝撃を受けてしまいました。
それはタチコマ達のAIが搭載されている衛星を自ら落下させて原潜から発射された核ミサイルにブチ当てるシーン。
これだけなら耐えられるのですが、そのときタチコマ達が「ぼ〜くらはみんな生きている〜」と合唱しながら大気圏突入するんですね。 これには私の涙腺は耐えられませんでした。 なんでこの歌なんだよ、と。
なんなんでしょうね、この感覚。
そもそも攻殻機動隊なんて見る人を選びますし、見ていたとしてもこのシーンで同様の印象を受けるとは限りません。
似たような衝撃はかつてパトレイバーで人工生命が怪物化したストーリーにもありました。
怪物という名にふさわしい生命体に密かに栄養となる物質を与えていた女性科学者。 なぜならその生命体の基礎となったタンパク質は彼女の死んだ娘だった、という話でした。
コミックとアニメ、映画(恐らくOVA)で演出は違うのですが、その死んだ娘がピアノを弾くシーンが重なり合うくらいであればよくある表現ながら、最後にその怪物が意味不明の出血をし、それが初潮だったという設定には一瞬頭が真っ白になったのを思い出します。
その明らかな怪物は科学者にとっては娘であり続け、女として成長し続けてもいた訳です。
DNAの愚直、理の残酷とでも言うんでしょうか。
両方とも押井守が絡んでるんですよね、この演出。
彼が考えたのか、彼のブレーンにこういう思考を持つ人がいるのかまではわかりませんが、私はこういう処理にモロに弱いです。
共に共通するのは狂気でしょう。
本来生きることを大前提にされている「生物」がそれを拒否する自殺、無関係な人を傷つける無差別殺人は最もわかりやすいですが、自らを傷つけてでも新しいものを生み出そうとするクリエイター、突撃のときにワルキューレを大音量で流すヘリコプター部隊の隊長等々、実は人の狂気は多岐にわたって存在しているし、誰でも持っている脳のごく当たり前な活動だと私は思っています。
それが時には感動や大発明などポジティブなものにも繋がっている訳で、実に厄介なものとも言えます。
たまたま例に出したのがアニメであるだけで、そんな慟哭に近い感情的波動を人に与える人はやはり一種の天才だと尊敬します。(決して犯罪を認めているという風には取らないようにして下さいね。あくまで創造作品に限ってのことです)
逆に昔からロッキーや日テレ的ないかにも「はいっ、ここ泣くとこですよっ!!!!」的な演出は大嫌い。
complicateな奴です、わたし。
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コメント
>>パトレイバーで人工生命が怪物化したストーリー
ですが、昨夜CATVのファミリー劇場でやってました。「The Movie 3」です。
ただ、初潮じゃなくて、レイバーの破片が外れたら乳房が発達していた、という展開で、あれ?思い違い? それともコミックとかなにかで見たのかな…
投稿: あやおば | 2008年10月25日 (土) 00時26分
う〜ん、確かに自己犠牲なんですよ。
ただ、それだけじゃ特攻隊やんか、回天やんか、ってなもんで感情的にはともかく理性的に認めたくないんですよねぇ。
だからアルマゲドンでは泣けませんでした。
んで、恐らく考えるに音も相当な役割を果たしているのではないかと思います。
あのAIタチコマ衛星の体当たりにしてもあそこで商業的にタイアップしているアーティストのテーマ音楽、ハイッどうぞ!!!!と流れても多分駄目で、あの天真爛漫な恐ろしく幼稚な音楽をあの超高度な知性体が歌うってのを挟むあの意外性に多分ドカ〜ンとやられるのではないかと。
エヴァにしても、アスカが精神攻撃を受けたときのいきなりのハレルヤだとか、カオル君がヘヴンズドアを開けて一旦ブレーク、シンジが叫ぶと同時に有名なコーラスが始まる第九とのシンクロとかは涙は出ないものの、鳥肌もんでした。
野暮な分析をすると、自己犠牲をしてまで誰かを守りたいという恐らく日本人には共通の琴線(多分それは愛情の裏返し)があって、しかしそれに慣れっこになってしまったひねくれ者はさらなる音楽や音で駄目を押されないと、ということじゃないでしょうか。
もちろんそれもありきたりじゃ駄目ですけど...
音と言えば声で蛇足を一つ。
コードギアスR2の第11回(6/22)、天子がシンクーに守られながら「あなたがいなければ...」と必死で訴えるシーンではその声優ぶりに感心しました。 声も凄いパワー持ってるんだ、と。
普通、あの距離では爆風で鼓膜破れるでしょう、という突っ込みは置いといて...
投稿: あやおば | 2008年7月 2日 (水) 00時19分
攻殻機動隊のエンディングは1も2も自律型AIが自我に目覚め(ゴーストを宿し)、自己犠牲によって主人公を守るというパターンですよね。
自我を持ったロボットが自己犠牲によって大切な物を守るというのは古典的な展開で、日本最初のテレビアニメである鉄腕アトムから受け継がれた流れで王道とも言えますね。
自己犠牲を美徳とするのは日本人特有な事で、一時期アメリカでは考えられないストーリーでしたが、最近はそうでも無いみたいで「アルマゲドン」など主人公の犠牲によって地球が守られるというストーリーもあります。
たた、日本で作ればブルース・ウィリスの自爆で蒼い地球が写ってエンディングって感じになるでしょうが、それでは後味が悪くアメリカでは受入られないので、ラストでリヴ・タイラーの結婚式で締めくくる事でハッピーエンドとして終わっている所がアメリカらしいですね。
おまけに、ホントの父親の歌まで流れちゃいますし(笑)
で、何が言いたいかと言うと、特に自己犠牲ってストーリーは判っていても泣けちゃうって事で・・・(爆)
攻殻機動隊で泣けたなら「アイアン・ジャイアント」でも泣けると思います。 (^^)
私は泣きました(爆)
でも、アメリカらしい救われるエンディングですよ。
投稿: いんて | 2008年7月 1日 (火) 12時47分
いやぁ、これだけコメント書いてもらえるなら十分わかってもらってると思います。
涙腺はこっちのほうが年のせいもあってもっと緩んでるかも...
先日19歳とのとき仕事のための結婚に直面し、そのときつきあっていた別の男性と話し合って結局破局した、という話を聞いてそれだけで泣けてきました。
それでもベタな演出では泣けんなぁ...
※夫婦仲良し、◎です!
投稿: あやおば | 2008年7月 1日 (火) 00時54分
わかってもらえないだろうこの感覚・・ってタイトルに
あっ、それ俺もわかります!とはなかなか言えないですが(笑
攻殻のタチコマのぼ〜くらはみんな〜では自分もかなり涙腺刺激
きましたねぇ、なんであの歌なんだろう・・・意図は解ると思うんですが
パトレイバーでの怪物のやつは、焼き直しがいっぱいあって
あぁ、またこの話か・・とあまりじっくり見なかったですねぇ。
おそらくセンセのおっしゃってるのは映画のヤツだったかなぁと
思うのですが。
ここ泣く所ですよ!ってのは嫌い!って気持ちもあぁぁ、
そうなんですよね!と相づち打ちたい所だけど、
最近はそんなベタな演出でも涙線緩みっぱなしです・・
PS・なんだかんだで夫婦共々平穏無事に過ごしております。
投稿: たけ | 2008年6月30日 (月) 20時47分