橋下知事報道の微妙なあや
「民間では考えられない物言い。上司として注意する」
「私のやり方が気に入らないなら、職を変えてくれ」
と橋下知事が朝礼で言ったという報道が複数ありました。
これ自体は公務員の既得権ボケとして異論無く捉えております。
職員は必死で頑張っているのに、と言いたいのでしょうが、仕事を必死で頑張るのは当たり前。
必死で頑張ってもなおリストラされたり倒産する私企業よりはましでしょう。
その揺るぎない安定を一切視野に入れず府職員になったという人は恐らく一人もいないはず。
確かに上司が信頼できずに減給も受け入れられないなら転職すれば良いだけです。
「移るだけの根性があるのなら」
むしろ私が興味を持ったのは各報道機関のこの発言の捉え方です。
今までなら「ほら、また勘違い桃太郎侍が言っちゃったよ〜」的ないわゆる煽りの香りが含まれていて当然なのに、そうは言い切らず、どこか煮え切らない表現です。
思うに、府民や読者の反応を探っている、つまりマスコミ各社も読者や視聴者の意識を読み切れなくなったのではないでしょうか。
社説やコラム等では「各論反対、総論賛成」というのが現段階での結論のような流れで、もともと庶民にある公務員嫌いとのバランスを考えると、そうそう「橋下は酷いやつ」では括れなくなってきているのでしょう。
中には大阪市職員の汚職と混同して気色ばんでいるラジオのコメントもたまたま耳にしたものの、役所の窓口で恐らくほとんどの人がこれまで体験してきた「役人根性」の恨みをこれではらそうというような庶民の(いささか低次元な)勢いも見て取れます。
私の彼に対する不安は、時々見せる明らかなバランス感覚の欠如で、突然ブチ切れたり、まだプロジェクトチーム原案段階にライトアップ計画とかわけのわからない、おいおい警察官減らしてるのにそんなのやってる場合かよ、というきな臭さを見せている事です。
体育音痴がスポーツ施設に理解が無いように、もしかすると彼は文化音痴なのかも知れません。
頭が良くてスポーツマンで、というと一般的には全方位非の打ち所がない、と思われていますが、それが文化に明るいとは確かに言い切れないのも事実です。
大阪国際児童文学館は日産自動車がスポンサーになっている「童話と絵本のグランプリ」の表彰・永久展示施設であり、かつてメーカーからのリリースをFCARに上げていた頃から知っていただけに残念です。
ただ、数回訪れた経験では、もっと展示や閲覧の方法を考えたら盛り上がるのになぁ、と思ったことも事実です。
親方日の丸感覚を是正することを条件に、最後のチャンスをあげてもよかったのに...
結局私も「各論反対、総論賛成」かぁ...
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コメント
>>壊し屋兼騒ぎ屋と各方面を丸め込んで良い条件を引き出す寝業師
これはなかなか鋭いキーワードですね。
どうも最近の大阪府議会の様子は、強烈なインパクトを与えたPT原案からいくつかの妥協案を出したことで予算案に対する理解の流れができつつあるそうですから、案外橋下の下にも寝業師がいるのかもしれません。
でも素人でもミエミエの戦略ですから、もしこのまま予算案が通ったら府議会の連中もメンツだけかよ、という気もします。
ただ、どちらにせよ文化の解る寝業師がいないことに変わりは無いようで。(まぁ、戦時のことを思い起こせば文化なんてのは真っ先に断ち切られているので政所の正しい順序通りではあります)
投稿: あやおば | 2008年6月16日 (月) 00時52分
大阪に在住しているだけで利害関係が無い私から見ると、橋下は職員に足元見られている様に思えますね。
口だけで実行力がない、任期一杯勤めるのも無理って。
大阪府クラスの大組織と言うものに属した経験が無いから、組織の理が見えていないし官僚の扱い方もダメ。
「職変えろ」とは言えても「辞めろ」と言えない。
と言うより、組織の長が言っていいこと悪いことが判っていないんじゃないかと。
いいブレーンに恵まれていないのか、お山の大将でいたいのかは判りませんが、批判的な部下をいい方向で使えないのは痛いですね。 イエスマンばかりの組織の末路なんていくらでも歴史の教科書に載ってます。
感情のコントロールの下手さも合わせて、この辺が橋下の若さかと思います。
思うに今の大阪を切り盛りするには、この手の壊し屋兼騒ぎ屋と各方面を丸め込んで良い条件を引き出す寝業師が裏で組んでないとダメなんじゃないかと。
投稿: フックランナー | 2008年6月14日 (土) 11時24分