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漫画摩擦

 ここ一週間程、デンマークで昨年公開された新聞漫画へのイスラム勢力の反発が大きく取り上げられています。

 詳細は既に多くが報道されていますので割愛しますが、最近コミックやアニメは世界共通文化と言われる風潮の中で意外と思われている人も多いかもしれません。

 もちろんここでいうコミックやアニメというのは全てファンタジーの世界を扱ったものであり、この世界でも風刺や明らかな比喩などを入れれば当然問題になる可能性を持つ事になります。

 

 もともと今回の一件には新聞の社会風刺漫画に抗議をするというのは野暮なこと、という西洋の文化が下敷きになっている事は間違いありません。 ここでぼろくそにバカにされてもそれに抗議する事でさらに「解ってないね」とさらに評価を下げる事になる為、欧米、またそれに習った日本でも新聞漫画に何を書かれても文句は言わない、という暗黙の了解がずっとあります。

 

 ただ、そういう暗黙の了解というのが怖い訳で、特に西洋文化と大きく価値観が違う他宗教、とりわけ人数で非常に多数を誇るイスラム文化ではそれは通用しなかったという事になります。

 つまり今回の事件はキリスト教を中心とした西洋文化対イスラム文化の争いに他なりません。

 

 最近移民の暴動が各地で起こり、特にそういう他文化・他人種に神経質になっているフランスでさえ、ここまで問題が大きくなってもさらに発端となった新聞を改めて国内の媒体に掲載したのも、報道の自由を守る為、という大義名分はついているものの、その背景は先に書いた自文化の伝統の主張でもあるわけです。

 もちろん同時にこれは反対側にとってはさらなる挑発とも取れる訳で、事はなかなか収まる気配を見せていません。

 このあたりは普段の生活にあまり深く宗教の存在を意識しない日本人には解りにくい感覚でしょう。

 確かに、事なかれ主義で西欧側がこれに折れる対応をしてしまうと、それこそ今後新聞の漫画での風刺に対してあらゆる方面からクレームがつき、言論の自由が損なわれてしまう事は充分想像できます。(ブッシュなんて世界中の新聞に対して毎日一千通くらいの苦情を送らなくてはならないでしょう)

 かと言ってイスラム文化のみ風刺の対象外ともいきません。

 また、昨年の中国での抗日運動の激化と同じく、主に貧困による不満を少しでも発散させるのに国外への仮想敵への過激な行動はよくある話で、イスラム諸国の一部の指導層には「まぁ、これで少しでもみんなのガス抜きができれば」という意識が無いとも言えないはずで、それを考えるとますます西欧側は妥協できないと言う、言わば本音と建前でのせめぎ合いが恐らくこれからも暫くは続くと思います。

 

 そう言えば私の好きないしいひさいちという漫画家はよく引っ越しをする事で有名らしいです。

 彼の作品の中には非常に風刺のキツいものもあり、古くは「頑張れ!タブチ君」で当の田淵選手が何の挨拶も無い、と不満を漏らしただとか、現在では明らかに読売新聞グループのドンである渡辺恒雄氏(ナベツネ)と明らかに解るキャラクターを朝日新聞の「ののちゃん」に登場させて町内の困り者にするなど、やはり書いている本人も怖い部分があるのでしょう。(これに抗議したナベツネをさらに漫画に出してまた彼なりの主張で応えたたとはいえ)

 じゃ、止めれば良い、という話になりますが、そこが彼の根底に流れる反骨精神と言うか、自由な表現を止めるくらいなら漫画なんか書かない、という決意なのかも知れません。

 とはいえ、結婚もしてお子さんもおられるようなので、今回の風刺漫画の件も対岸の火事という風には捉えていないかと勝手に想像します。

 

 しかし風刺というのは本来人間の本音に最も近い主張であるわけで、批判される側も当事者同士の取り繕った反応ではない、隠された心情を探るのには非常に役立つ使い方もある訳で、今回槍玉に挙げられたイスラム側も単に苛つくだけではなくそういう捉え方もあるのだと言うように利用して欲しいとも願う限りです。

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