あ〜あ、と感じた日航人事
久々にビジネスネタです。
今朝、朝刊をぱらぱら見ていたら日本航空の社長退陣要求クーデターに対する打開案がでそうだ、という記事が目にとまりました。
この事件、このクラスの大企業では珍しく、取締役会で社長退陣要求が動議されたことで、非常に印象に残っていたのです。 確かに新体制になってもポカミスは減らないし、御巣鷹山の追悼記念日にエンジンが火を噴いてテレビに収録されるは、一個人としても社員が自覚を新たにしているとは思えない事実に遭遇するは、そのくせ松井秀喜や宮里藍を大々的にスポンサードして派手な広告魂は不変に見えます。(上戸彩の新しいドラマも全面的バックアップするらしい。 まぁ、キムタクのGood LuckでANAに遅れをとったもんなぁ。)
結果として客は減ってこの原油高も手伝って大赤字な訳で、そら社長が引責辞任してもおかしくないわな、と外野は感じます。
ところが。
朝刊によると、社長はそのままで、そのかわり副社長が辞めるらしい。 はぁ?(摩邪(c))
そして退陣要求した側も数名が辞めるらしい。 はぁ?(摩邪(c))
こいつらあほか、と寝ぼけ眼で食パンをかじりながら正直思いました。
どういう談合があったか解りませんが、社長に対しての退陣要求でなぜ副社長が辞めて、おまけに要求側も辞めるの? 何の為の事前の連判状だったの? まさか喧嘩両成敗なんて事じゃないでしょうし、もしそうならJALは間違いなく立ち直れないと保証します。
車業界で言うとマツダや日産がどうして立ち直れたのか。 たしかにフォードの金、ゴーンの手腕はありがたかった。 しかし両社の前社長(特にマツダの現社長からは私が自分で聞いた)が言うには、彼らの打ち出した起死回生策の殆どは救済される前から社内にあったものだったという事。
ただ、それを従来の体制では実現できなかったのを外から突然来たCEOや新社長があっさり鉈を振り下ろしてくれて実現したのだ、というのが本当の話です。
特に日本はなれ合い根回し社会で、会社のトップクラスは大企業になればなるほど、あらゆるところにかつて世話になった人もいれば育てた人もいる。 また金銭的や血縁関係で不利な立場に置けない部署や人材を一杯抱えながら出世してゆくのです。
例え社長と言え、それを簡単に切れる訳が無い。
ところが外から来た人、特に外人であれば「ソレガドナイシテン。カンパニーハ銭ヤガナ銭」とあっさりバサバサ不採算部門は整理し、首も切れる。 それによって「お前の息子の就職の世話をしてやったのは誰だと思ってるんだ」という怪電話が夜中にかかってくる事も無い。
という風に、社長の首のすげ替えというのは経営の大鉈を振るう時には想像以上に有力な手段になり得るのに、日本航空はそれをせずに、「一定の責任を果たしてから」とか居座ろうとしている。
「それができなかったからクーデーターを起こしたんだよ」
と、裏切りに怯えながらも連判状にサインした現場の管理職は恐らく今回の気持ち悪い決定にさぞがっかりしているでしょう。
日本航空の大株主でもあり、限りなく灰色の元国会議員糸山英太郎は「派手な広告で金を捨てるんじゃない」とまともなことを言っているようだし、別の視点からは、普段否定的に報道されるM&Aファンドなどがとんでもないような要求を会社に突きつけるのも場合によっては大きな飛躍や転換のチャンスなのかも知れません。
そんな事を考えると、ホリエモンが旧態依然のフジテレビグループのジジイ経営者達に挑んだ戦いはあれだけを捉えるとやっぱり痛快な事件だったのかも知れないと今になって思います。
ということで、落胆した現場の人々が働き続けるJALはどんどん高度を落として行く、ということでしょう。 恐らく。
かつてのナショナル・フラッグ・キャリアーで、あの鶴丸マークはデザイン的にも気に入ってましたから、寂しい限りです。
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