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金髪の兄ちゃん

 昨夜遅く、四年前の卒業生から突然メールがあり、私の家の近所まで来ているとの事、早速ファミレスで二時間程話をしました。
 
 彼はT君と言い、他の二人と併せて当時は二年制だった標準課程にプラス一年の三年目を一緒に過ごした一人です。 別に留年した訳ではなく、はっきり言うと二年でやりたい事が見えなかったので、取りあえずもう一年学校に来た、というわけです。
 
 一言で言うと彼らの形容詞は「やんちゃ」。 悪い事はしないものの、みんな毛を染めてるし、格好はボーダー、そして何故か彼らと仲が良かった私がその三年目の担当となりました。
 小さい一室を与えられて、週一回、そこで四人Macに向かうと言う、変な授業で、私自体もふと「美術展行こうかぁ」とか言い出したり、果ては夏休みに四人で隠岐へ旅行に行ったりと、良く言えばゼミ、悪く言うと隔離されたクラスだったのかも知れません。
 
 T君はその内最もパッとせず、PhotoShopもIllustratorも今ひとつ、さぁどうするね? 正直そんな感じでした。 顔は男前だけとツンツンの茶髪にイカツイ顔で、一部の人しか分らないでしょうが、漫画「テニスの王子様」の阿久津のようで、なにげなしに入ったコンビニで、店内にいたチーマーたちが思わず道を譲ったという逸話がある程です。 そのくせ似合わない様な真面目な女の子を好きになって告白して玉砕したり、と結構相談にも乗りました。
 
 その彼がある日、ひょんな事からAdobeのAfter Effectという映像加工ソフトにはまりました。 それ以後、他の誰より黙々と制作に打ち込み、ある日「せんせい、僕、これがやりたかったんです」とはっきりと口に出しました。
 考えてみれば日産がルノーに買収された直後のCMで流された"Fat Boy Slim"の"Right here, Right now"という印象的な曲を彼はテレビで流れる半年前に自分の作品に入れ込む等、才能の片鱗は見えていたのかもしれません。

 当然就職希望もその方面でしたが、もともと映像関係は関西では求人が少なく、加えてその当時はうちの学校は映像関係に実績が無く、結局卒業後6月になって唯一求人情報が舞い込んだY興業の下請け制作会社にバイトで転がり込みました。 この時もまだふられた凹みをひきずる彼を喫茶店に呼び出し、「このままでは悔しないか? 希望の道と違うバイトでうじうじしてるくらいなら面接行かんかい!!!!」とケツを蹴ったのを覚えています。
 
 しかしそれから正社員になるまで一苦労、現場でY興業の老社員に虐められて一苦労、残業代をピンハネされて一苦労、そして最後は社長が夜逃げして一苦労、とずいぶん苦労をした様です。
 ところが倒産と言う事態になって、その間の働きぶりを見ていたY興業が、個人契約社員として採用、結果として苦節四年、立派な給料をもらうまでになったという話しを聞いて、改めて「こいつ偉いなぁ」と思った次第です。
 突然私の所を訪ねて来たのも、やっとできた余裕の金を貯めて中古の、しかし現金で買ったバイクを私に見せに来たかった様です。
 
 今では彼の髪は茶髪を通り越して金髪、話を聞くと、それで結構第一印象を悪く持たれた事はあったそうです。 それでも彼は自分のスタイルを貫き通し、しかし、山岳部で踏み外したら一巻の終りという修羅場を高校時代に数回経験した体育会系であった事、仕事はもちろん、礼儀もしっかりしていたこと、それから後でT君が社員から聞いた話しでは、その間、誰にも媚びなかった事、などが評価されたそうです。
 
 非常勤講師をしてこういう学生ともつきあい、一つ感謝している事があります。
 それは茶髪や格好だけでこの年頃の若者に偏見を持たなくなった事です。
 そう言う連中の中にもしっかりした奴がいる事、まともな格好をしている連中の中にもずるい奴がいる。 そんな事は当たり前とは言いつつ、それを目の当たりにすると、もし彼らと接触する機会が無ければ自然と偏見を持ってしまっただろうし、それで当たり前だったかも、と感謝しています。
 
 いや、立派やで>金髪の兄ちゃん、T君

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